A. 一般の紛争と同じように、示談交渉、調停、訴訟があります。
さらに、労働事件に特有のものとして、労働審判という手続があります。
労働審判は、個別労使関係の民事紛争について、裁判官と労使の専門委員で構成される労働審判委員会が、
事件の審理を行い、調停を試み、調停が成立しない場合は労働審判を出す制度です。
平成18年4月に導入されました。原則3回以内の期日で審理を終結させることを目指していますので、
これまでの訴訟制度より、紛争の早期解決が望めます。
A. 個々の法律により制限される場合があります(労基法19条など)。
それ以外にも、労働契約法第第16条は、使用者は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められないような場合は、労働者を解雇できないとしています。
そして、解雇にあたっては、使用者は少なくとも30日前にその予告をしなければならないとし、
30日前に予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払らわなけれならないという義務を課しています
(労基法20条1項)。
A.賃金、労働時間、休日等の労働条件は、労使の合意によって決められるのが原則ですから、労働者の同意なく、
使用者が一方的に労働条件を切り下げることは許されません(労働契約法第8条参照)。
また、就業規則による場合も、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、
労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、
労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであることが
要求されています(労働契約法第10条参照)。
A. 契約期間の定めがある場合は、原則として、期間の満了によって契約は終了します。
しかし、現実には、契約期間を何回も繰り返し更新しながら、長期間働いている方もいます。
この場合は、直ちに更新の拒否を認めず、解雇の法理を類推して、契約打ち切りの合理性を要求されています。
諸般の事情を考慮して合理性が判断されます。(労働契約法 第19条1項)
A. セクハラとは、相手方の意に反する性的言動をいい、パワハラは、職場において、
職務上の地位や影響力を行使して、相手方の人格や尊厳を侵害する言動を行う場合で、暴力を振るう、
仕事を与えない、退職強要、職場内で孤立させるなどが含まれます。
加害者が不法行為責任(民法第709条)を負うのみならず、使用者(会社)には
使用者責任(民法第715条)の他、働きやすい環境を保つよう配慮する義務に違反したものとして
債務不履行責任(民法第415条)も負担することになります。